試験研究の成果

園芸ハウス内のCO濃度多点計測とリアルタイム可視化ツール

分  野
施設園芸
品  目
パプリカ、イチゴ
技術概要
 昨今の施設園芸では、光合成促進を目的とした炭酸ガス施用技術の普及が進んでいますが、COは可視化しにくいため、栽培者に効果的な利用法や換気の有無が施用効果に及ぼす影響等を指導することが困難になっています。
 そこで、園芸ハウス内で炭酸ガス施用した際のCO濃度の変化を直感的に把握する手法とそのためのツールを開発しました。

  1. 本ツールは、CO濃度のほか、温・湿度のデータも同時に収集することから、COに加え園芸ハウス内部の温・湿度ムラの可視化も可能であり、温風ダクトの配置を検討する等、様々な場面での利用が考えられます。
  2. CO濃度の多点計測とグラフ化により、炭酸ガス施用時の変化を直感的に把握できます。

    換気窓、温風ダクトの位置と、多点計測センサーの位置図

    多点計測によるハウス内COの濃度変化の可視化の例
  3. リアルタイム可視化ツールは、センサー部、Wi-Fi部、クラウド部で構成されます。利用者はセンサー部とWi-Fiルーターを圃場に設置し、スマートフォン等を用いてデータ可視化サイト「Ambient」(https://ambidata.io/)にアクセスし、その場で栽培者と一緒にCO濃度の変化を確認しながら適切な指導を行うことができます。

    リアルタイム可視化ツールの構成

    センサー部外観(左)と構成図(右)
  4. 本ツールは、多点計測時の利便性を考慮し、小型・軽量なものとしました。また、マイコンのプログラムコード(Arduino言語)はオープンソースを編集・加工したものであり、「Ambient」も無償サービス(接続数に制限あり)であるため費用は発生しません。

  5. データは「Ambient」から随時ダウンロード可能です(CSV形式)。このためエクセル等を用いて任意にデータを加工・編集することができます。

※利用上の留意点
  1. グラフの閲覧には、別途インターネット接続契約済みのWi-Fiルーターとインターネットに接続可能なデバイス(PC、スマートフォン、タブレット端末等)が必要です。
  2. 「Ambient」への登録が必要です。またデータの可視化はセンサー8台分まで無償であり、それ以上は有償となります(R4.11月現在)。
  3. マイコンの初期設定が必要ですので、設定方法はインターネットの各種サイトを参照してください。
  4. 本システムは内臓ファン停止状態で4時間、稼働状態で1時間の計測が可能です。これより長時間計測するには、別途モバイルバッテリーが必要です。
関連情報
関連「普及に移す技術」等
担当部署
農業・園芸総合研究所 野菜部(電話:022-383-8122)

 宮城県農業・園芸総合研究所
  (企画調整部 企画調整チーム)
  〒981-1243 宮城県名取市高舘川上字東金剛寺1
  TEL:022-383-8118
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