試験研究の成果

ちぢみゆきな栽培に適する品種と播種晩限の目安

分  野
露地野菜
品  目
ゆきな
技術概要
 宮城県において、ゆきなは「みやぎ園芸特産振興戦略プラン」の地域戦略品目に位置付けられています。中でも、冬の寒さに当たることで葉の縮みや甘さが増したちぢみゆきなは冬の人気商材であり、12月20日頃から出荷を開始します。冬場の青物野菜としての需要が高いことに加え、農閑期における労働力の有効利用の面でも有望です。県内各地で生産されていますが、適した品種や播種日の情報はありませんでした。
 また、近年は温暖化の影響で暖冬傾向にあることから、ほ場で生産物が出荷規格を大きく超えることが多く、収穫作業効率の低下や調製時の労力および廃棄物の増加が課題となっています。
 その解決方法として、露地栽培における適品種と、播種から収穫までに要した有効積算温度をもとにした播種晩限のシミュレーションを作成しました。

  1. 露地栽培に適する品種は「みそめちぢみ菜」であり、他品種より株あたりの調製重が重く、収穫時生育および収量性が優れます。

  2. 本試験場の露地ほ場で栽培試験を行い、調製重40gに達した日を収穫開始日とした場合、播種から収穫までに要する有効積算温度(4℃以上)は586℃日程度と考えられます。


  3. 有効積算温度をもとにした、宮城県の各市町村で12月20日に出荷が可能な「みそめちぢみ菜」の播種晩限のシミュレーション結果は下図の通り、内陸部では9月中旬、沿岸部では9月下旬が播種晩限となっています。


※利用上の留意点
  1. 本研究は、平成30年から令和4年まで宮城県農業・園芸総合研究所内の露地ほ場で実施しました。平成30年~令和元年は株間10cm、条間15㎝の4条植え、令和2年~令和4年は株間7㎝、条間15㎝の4~5条植えで栽培し調査しました。施肥は窒素成分、リン酸、加里をそれぞれ1.5kg/a施用した。
  2. 本試験では全農みやぎ出荷規格を参考に、調製重40g以上、最大葉長24cm以下を出荷規格の基準とし、有効積算温度も同様の基準を設けて算出しました。
  3. 播種晩限のシミュレーションでは、「農研機構メッシュ農業気象データ(The Agro-Meteorological Grid Square Data、NARO)(大野ら、2016)(https://amu.rd.naro.go.jp/)」を使用し、各市町村の庁舎(仙台市は区役所)の平均気温のデータ(平成25~令和4年)を取得して利用しました。
  4. ちぢみゆきなは12月20日ころから出荷が開始されるため、播種晩限のシミュレーションでは12月20日を収穫開始日と設定して算出しました。
  5. 各地点の平均気温のデータを取得する際に必要な緯度、経度の情報は、「Google Map」を参考にしました。
  6. 本シミュレーションにより導き出した播種晩限の目安は、各地点の気温データのみにもとづいて算出したものであり、地温や降水量、日射量の影響は考慮していません。
関連情報
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タイトル
出典
容量
R4参考資料
717KB
担当部署
農業・園芸総合研究所 野菜部(電話:022-383-8124)

 宮城県農業・園芸総合研究所
  (企画調整部 企画調整チーム)
  〒981-1243 宮城県名取市高舘川上字東金剛寺1
  TEL:022-383-8118
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